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鮎釣りのハリを考える

 鮎釣りに凝り始めた釣り人が一度はぶつかってしまうハリ選び。数多あるハリの種類からどれをチョイスしたら良いのかは鮎を釣る時期や川の状態によって大きく異なってきます。ここでは鮎バリの特徴を明らかにしながら、どのように選択していけばよいのかを考えてみたいと思います。

目次

鮎バリの種類

 鮎バリは大きく分けてイカリバリとチラシバリの二つに分けられ、そのうちイカリバリは3本錨と4本錨にわけられます。チラシバリはハリスに1本のハリが3つ結わえているのが一般的ですが、2本のハリをチョウチョのようして結わえている蝶バリと呼ばれるものもあります。

 ハリの形状は針先が内側を向いているシワリ系と針先がまっすぐ直線のストレート系とに別れます。また、最近ではこの中間的な形状をしたタイプも出ています。

鮎バリの形状

 針先が内側を向いているシワリ系のメリットは掛かった鮎がバレにくいということです。また、デメリットとしては鮎の掛かりが遅いことです。が実はこのデメリットはメリットでもあり、針先が底石に擦れることが少ないために針先の損傷が少ないとも言えます。

 針先がまっすぐ直線のストレート系はこの逆で鮎の掛かりは早いけれど、シワリ系に比べて掛かった鮎がバレやすいことや針先の損傷が早いことがあげられます。両者はトレードオフの関係にあり「掛りが早くてバレにくい」という都合の良いハリはありません。

鮎バリの号数と線径

 鮎バリの号数はハリを直線に伸ばした時の寸法で決められており、小さい方から5号、5.5号、6号、6.5号、7号、7.5号と大きくなっていきます。解禁当初は小さい号数で鮎が大きくなる終盤に向けて大きな号数へと使い分けていきます。また、鮎バリの線径も一般的にはハリの号数が大きくなるにしたがって0.37mm~0.46mmへと大きくなります。

 

鮎バリのコーティング

 がまかつのナノスムースコートやシマノのフッ素フィニッシュ、ダイワの極薄メッキ+スペシャルフィニッシュ加工など針先の滑らかさや刺さりを追求したコーティング製品が各社から出されています。

 また、オーナーは刺牙(サスガ)ポイントと言う針先の処理を行った製品も出しています。これはメッキを行うと必ず針先が丸くなるために鋭さを追求してあえてメッキ層を作らずにほぼノンコートの状態で針先の先鋭化を果たしたものです。

3本錨と4本錨の特徴

 3本錨は軽いため川底の石を擦りにくく針先が鋭利なまま長持ちしますが鮎の掛かりは遅いです。逆に4本錨は重いために川底の石に擦れやすく針先の損傷が早いのですが鮎の掛かりは早いです。この特徴より、例えば鮎の活性が高く針先の痛む間もなく次々と掛かる時合には4本錨が良いとされ、鮎の活性が悪くて泳がせる時間が長くなる場合には底石を擦りにくい3本錨が良いということになります。

 これにハリの形状であるシワリ系とストレート系の要素を組み合わせると、3本錨の線径の細いシワリ系の場合が最もハリ先の損傷が少なくそのかわり鮎の掛かりは遅いということになります。そこから線径が太く4本錨のストレート系に向かって、ハリの損傷リスクは増大しながらも鮎の掛かりは早い方向へとベクトルは向かっていきます。

チラシバリの特徴

 チラシバリはオトリ鮎の魚体よりハリスが長く後方に出ているために野鮎の追いが悪い時に有効とされます。また、1本のハリが魚体に掛かるために深く刺さることや、他の2本のハリも魚体に巻き付いてバレにくいというメリットもあります。終盤の大鮎を瀬で釣る場合に有効だとされています。また、蝶バリというタイプは群れ鮎が追い合いをしない場合に効果を発揮すると言われています。

私の初期のハリ選び

 解禁当初は5号から6号の小バリを使用します。ハリスを尾びれから2センチほど出してすぐに鮎が掛かるようならそれでいいのですが、そうでない場合にはハリスを15センチ程度まで目いっぱい長くとる場合もあります。有田川ダム上などの完全放流河川では解禁当初はまだ鮎が川になじんでおらず群れている場合が多いためです。特に淵での群れアユは根掛かりの少ない小バリのシワリ系3本錨が有効です。

 ただし、海産を中間育成した放流魚の場合には魚体が柔らかいためワンランク大き目のハリを使った方が良いと思います。また、最近は人工種苗もF1~3と海産の中間育成に近い鮎となっているために同様の対応で良いかと思います。F1とはその年の1月に海ですくった仔稚魚をF0として養殖池で親魚にまで育て、人工授精をして孵化した仔稚魚を呼びます。F2はそのまた翌年のものです。昔はF10代など鱗の大きな特徴を持つ大型の鮎がいましたが、今はより天然アユに近づけるためにF3ぐらいまでとなっているようです。

 ハリスを長くとっていて尻尾の近くに掛かる様になったら追い気が出てきたと判断してハリスを短くしていきます。背掛かりなどが出るようになるまで調整を続けます。次に陽が射して掛かる頻度が上がったら4本錨に変えます。非常に追いが活発な場合には4本錨のストレート系が爆釣を呼びます。

 どちらかと言うと私は3本錨派で4本錨を使うのはごく稀です。がそれでも釣果が80匹、90匹と爆釣した時には必ず4本錨で入れ掛かりタイムを作っています。ただ、4本錨は重いため針先が痛むと魚体に掛かった時に傷んだハリがケラレを発生する原因になると私は考えます。なので、トロ場などで泳がせる場合には4本錨のサイズをワンランク落としています。

私の中盤のハリ選び

 鮎が20cmを超えてくる7月中旬から8月にかけては7号や7.5号のハリを使います。この時期にも群れアユはいますがあえてそれは狙わずに石に付いた縄張り鮎を求めます。

 釣り始めは3本錨のシワリ系です。掛かるまでに時間を要してもまず1匹目の野アユを獲らなければその日の釣りは始まりません。確実に1匹目を獲るために粘り強く泳がせます。それでもダメな場合にはチラシバリで強い瀬を攻めたりもします。掛かれば同じポイントで何度も繰り返して、掛かりが止まればまた泳がせ釣りのできるポイントに戻ってきます。

 先に私が述べたシワリ系とは、正確にはシワリ系とストレート系の折衷針と呼ばれるものです。形はシワリ系なのに針先がストレートになっている針で、例えばオーナーの一角やがまかつのセツナがこれに当たります。

 私は以前はダイワの早掛けストレートバリのスピードばかりを使っていました。があるときチャラ瀬の見通せる石の上で釣っていた時に、掛かる鮎が見えて絶句しました。見えていない時はわからなかったのですが、スピードはしょっちゅう野鮎が掛かって白い腹がギラリと返るバラシやケラレを繰り返していました。私が手ごたえを感じて取り込めたのはそのうちの10分の1いや20分の1程度でした。

 このときから早掛けストレート系への不信感が強まりシワリ系へと変わっていきました。が、後になってよく考えてみると、スピードはシワリ系では拾えなかった鮎の魚体にまでストレートなハリが絡みついてあれほどのバレとケラレを繰り返していたのではないのか。つまり、シワリ系ではあのようなバレやケラレは多発しないだけで、結局はストレート系と同様にしっかり魚体にハリ刺さりするまでの回数は変わらないのではないかと思っています。

 ただし、流れのある所で野鮎が掛かった後の身バレについては、シワリ系の方がリスクは小さいと思います。実は、オーナーの刺牙(サスガ)ポイントで処理をしたハリもスピードと同じ印象を持ちました。針先が鋭すぎるゆえに魚体に触れ掛かる回数が多いのです。そのような現象の少ないシワリ系を良しとするのか否かは人それぞれの選択かと思います。

私の終盤のハリ選び

 鮎が25cmを超えて尺近くにまで大きくなる終盤のハリは、大きな号数でとにかく強くて折れにくいハリを選びます。また、4本錨よりもしっかりと魚体に刺さり込む3本錨やチラシバリが良いと思います。

 私が多用するのはオーナーの一角ハイパー8号や9号の3本錨、または満開チラシの8号や9号です。特に満開チラシをよく使います。これはトロ場の泳がせ釣りでも瀬の釣りでも同じで、時には満開チラシの最後の1本を切って2本だけで釣る場合もあります。

 終盤の大鮎釣りは循環の釣りで数を狙うというよりかは一発大きな鮎を獲るという釣りでもあります。なので、魚体に巻き付くチラシバリで掛かった鮎を絶対に逃さないというメリットも生かすべきかと思います。満開チラシにはトンボとキツネがありますが私はシワリ系のキツネを使っています。

まとめ

 鮎バリの種類は多種多様で、初めて鮎釣りをされる方にとってはどれを選んでいいのかわからないことでしょう。

 私は鮎釣りを始めた20数年前、ハリは祖父からもらった古くて大きな3本錨を使っていました。やがてストックが底をついたので釣具店に行ってがまかつの「あーだ」という3本錨を買いました。この「あーだ」がそれまで使っていたハリとは段違いで、根掛かりも少なく鮎の掛かりが良くて感激した記憶があります。もちろん釣果もぐんと伸びました。私はしばらく「あーだ」ばかりを使っていました。

 そのうちに各社から販売されるハリの種類も増えてきて、私もいろいろと試すうちにダイワの「スピード」に行きつきました。その頃はまだシチュエーションによってハリを使い分けるなどという発想はなく「スピード」一辺倒でした。

 当時の私の鮎釣りは、紀ノ川の支流の貴志川で6月に解禁したらお盆過ぎにはもう納竿です。仕事も忙しく子育ての最中でもあったのでシーズン釣行はわずか15日ぐらいでした。やがて子育てからも解放されて鮎釣り仲間も増えてくると、もう少し遠方の有田川に行くようになりました。それからは鮎釣りに年々のめり込み、気が付いたらシーズン釣行が50日と激増していました。

 こうなってくると鮎釣りの事がしょっちゅう気になってしかたがありません。中でも野鮎と接触をするハリについては最も重要なところだと思い考え続けました。が、今でもこれだと自分ではっきりと型が決まった状態には至らず、実は今だに悩みは続いています。他者がこのハリが良い、などと言うとすぐに目移りします。なので最近では、もうハリについては悩まないでおこうと思ったりしています。3本錨と4本錨のどちらか良いかなどは、一回性の鮎釣りで再現できるはずもなく結論など出るわけがないのです。

 所詮鮎釣りは結果論です。一番釣った人の理論が正しいのです。ただし、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言われるように、鮎釣りでも自分ではよくわからないのに爆釣する場合はあります。がまた、その逆で他者はよく釣れているのに自分だけが全く釣れないという場合もあります。この自分だけが全く釣れないという原因は突き詰めれば必ず究明できます。そこから次にどうつなげていくのかを熟慮するところに成長は促されます。

 鮎釣りに行ったときなどに積極的に先輩や同僚の考え方を聞きながらディスカッションをしましょう。それが鮎釣りの上達する近道となるはずです。

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この記事を書いた人

高知の山村に生まれ海の仕事に就き幼い頃から川や海で釣りをしています。近畿エリアを中心にグレ釣りアマゴ釣りアユ釣りで年間100日釣行。これまでの経験を活かして役に立つ楽しい記事作りに努めたいと思います。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 丁寧な解説、とても参考になりました。
    色んなハリが登場し、何がよいのかブレまくっています。自分が好きなハリはあっても、自信をもってるわけではなく、何となく使ってる感じです。
    錨とチラシを使い分けるのが ベースなのでしょうかね~。

    • 針は悩みだしたら迷宮入りしますね。スピードは書いた通りで全は針先がすぐに曲がる、頂はやたらケラレが多いなどの経験から離れました。今のところセツナは好きというよりかは別れる理由が見つからない古女房みたいな感じです。新しい魅力的なのを見つけたらすぐに乗り換えます(笑)
      今年も解禁ベストには3本錨の5.5と6.5、4本錨の6、満開チラシとダブチョウを入れて頑張ります。

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